国立公園絵画コレクションについて

1872(明治4)年のアメリカ合衆国において、世界で初めて国立公園が指定されました。当時盛んに行われていた西部開拓で新たに発見されたイエローストーン地域の大自然を国有化し、永久的に保護し、国民の保健、福祉に利用することを目的としていました。しかし、こうした新しい土地利用の提案に対し、国民からの理解を得ることができなかったため、国は画家や写真家を現地に派遣し、そこで描かれた絵画や撮られた写真を展示しすることで、ようやく理解を得ることとなりました。国立公園の指定に、絵画や写真が大きく貢献したのです。
アメリカ合衆国で生まれた国立公園の理念や手法を取り入れ、1927(昭和2年)には、国立公園の制度づくりや啓発活動を行うため、国立公園協会が設立され、その候補地を絵画で紹介する「国立公園洋画展覧会」の開催が企画・実施されます。そして、当時を代表する洋画家たちに絵の制作の委嘱を行い、26点が完成し、1932(昭和7)年に東京や大阪などで展覧会が開催され大好評を博しました。その後、1934(昭和9)年に日本において初めて国立公園が指定されますが、国立公園絵画は随時内容の充実が図られていき、最終的には80点のコレクションとなり、国立公園協会の所蔵として活用されていきました。
この国立公園絵画コレクションは、文化勲章受章者10名、文化功労者12名、その他も日本芸術院会員など、名実ともに日本の近代洋画界を代表する画家たちが、国立公園協会からの依頼によって制作した国内有数の風景画コレクションといえます。それらの作品は、自らの所属する団体の枠を超えて制作したものであり、その作品1点1点には、その画家の特徴や制作された時代の雰囲気などもよく現されており、このコレクションから日本近代洋画史の流れを見ることができるといっても過言ではありません。
2011(平成23)年に「財団法人国立公園協会」が解散するに際し、国立公園制度と日光との強いつながりや、国立公園内に所在する数少ない公立美術館であることなどから、この全コレクションが小杉放菴記念日光美術館に寄贈されました。